

「NASを入れたいけれど、結局いくらかかるのか」。本体の値札だけ見て決めると、HDD代・電気代・バックアップ費用が後から積み上がり、想定の1.5〜2倍になることは珍しくありません。本記事では、NASにかかる費用を4つの内訳に分けて、現在の実売価格で総額を試算します。あわせて、クラウドストレージを使った場合の月額と、5年間の総所有コスト(TCO)で比べたときにどちらが安いかまで整理しました。
NASの費用の全体像(初期費用・電気代・バックアップ費用)

NASにかかる費用の内訳は4つ
NASの費用は、次の4つを足したものが実際の総額です。
💰 NASの費用の内訳:
- 本体価格:HDD同梱型なら本体だけ、ディスクレス型なら本体+HDDが必要
- HDD代:RAID 1なら2台、RAID 5なら3台以上。容量と台数で大きく変わる
- 電気代:24時間稼働が前提。機種によって年間1,500円〜1万円程度の幅がある
- バックアップ費用:外付けHDD、2台目のNAS、クラウドのいずれか。RAIDだけでは代わりにならない
見落とされやすいのはHDD代とバックアップ費用です。ディスクレスNASは本体3万円でも、HDD2台で5〜6万円が加わります。さらに、NASの中身を守るためのバックアップ先を用意すると、総額は本体価格の2〜3倍になります。
自宅・SOHO・小規模オフィス別の総額目安
現在の実売価格(税込)をもとに、用途別の初期費用の目安をまとめました。いずれもRAID 1(2台ミラー)構成です。
| 用途 | 構成例 | 本体 | HDD | 初期費用の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 自宅・1人(2TB) | QNAP TS-233+WD Red Plus 2TB×2 | 約3.0万円 | 約4.5万円 | 約7.5万円 |
| SOHO・数人(4TB) | Synology DS225++IronWolf 4TB×2 | 約6.0万円 | 約6.4万円 | 約12.4万円 |
| SOHO・設定を任せたい(2TB) | Buffalo LinkStation LS720D0202(HDD同梱) | 約6.4万円 | 込み | 約6.4万円 |
| 小規模オフィス(4TB・保守重視) | Buffalo TeraStation TS3230DN0402(HDD同梱) | 約12.1万円 | 込み | 約12.1万円 |
| 小規模オフィス(大容量・4ベイ) | Synology DS425++IronWolf 8TB×4(RAID 5) | 約10.8万円 | 約20.9万円 | 約31.7万円 |
ここに電気代(5年で1〜5万円)とバックアップ用の外付けHDD(2〜4万円)が加わります。
⚠️ HDD価格は上昇局面にあります。NAS用HDDは1年前と比べて1.5〜2倍近くに値上がりしており(WD Red Plus 8TBは2025年11月の約3万円から約5万円に)、Buffaloも2026年1月にNAS40モデルを値上げしました。記事内の価格は執筆時点の価格.com最安値で、購入時には必ず現在価格を確認してください。
NASが安くなる条件・クラウドが安くなる条件
結論から書くと、容量が大きく・使う人数が多く・長く使うほどNASが安くなり、容量が小さく・1人で・外出先から使うほどクラウドが安くなります。クラウドは1ユーザーあたり月額が積み上がる料金体系のため、5人で5年使うと数十万円になります。一方NASは初期費用が重い代わりに、人数が増えても費用がほとんど増えません。
紙の書類をスキャンしてデータ化する場合も、保存先の費用はこの基準で判断できます。書類の電子化の進め方はペーパーレス化が進まない理由と原因別の解決策で解説しています。
NAS本体の価格相場(2ベイ・4ベイ・メーカー別)

HDD同梱型の価格(Buffalo TeraStation・LinkStation、I-O DATA)
HDD同梱型は箱から出してすぐ使えるのが利点で、HDDの選定や互換性を考える必要がありません。価格はHDD込みなので、ディスクレス型の「本体+HDD」と比べてください。
| 型番 | 用途 | ベイ数・容量 | 2.5GbE | 実売価格(税込) |
|---|---|---|---|---|
| Buffalo LinkStation LS220D0202G | 個人向け | 2ベイ・2TB | なし | 約3.5万円 |
| Buffalo LinkStation LS720D0202 | 個人・SOHO向け | 2ベイ・2TB | あり | 約6.4万円 |
| I-O DATA HDL2-TA2 | 個人向け | 2ドライブ・2TB | なし | 約3.4万円 |
| I-O DATA HDL2-TA4 | 個人向け | 2ドライブ・4TB | なし | 約4.6万円 |
| I-O DATA HDL2-LE02 | 法人向け | 2ドライブ・2TB | 未確認 | 約6.1万円 |
| Buffalo TeraStation TS3230DN0202 | 法人向け | 2ベイ・2TB | あり | 約11.8万円 |
| Buffalo TeraStation TS3230DN0402 | 法人向け | 2ベイ・4TB | あり | 約12.1万円 |
| Buffalo TeraStation TS3430DN0804 | 法人向け | 4ベイ・8TB | あり | 約18.7万円 |
TeraStationの価格が高いのは、日本語の電話サポートと保守サービスが含まれる法人向け製品だからです。IT担当者がいない事業所で「故障時に誰かに電話したい」なら、その差額は保険料と考えられます。個人や少人数なら、同じBuffaloでもLinkStationで十分です。
なお、旧世代のTS3220DNシリーズは公式に後継としてTS3230DNが案内されており、2TBモデルは価格登録が消えています。流通在庫を安く見つけても、後述する電気代や保守の点から現行のTS3230DNを選ぶのが無難です。
ディスクレス型の価格(Synology・QNAP・UGREEN・ASUSTOR・TerraMaster)
ディスクレス型は本体価格が安く、HDDを自由に選べる代わりに、HDD代が別途かかります。本体3万円前後の入門機でも、機能面ではRAID・自動バックアップ・外部アクセスまで一通りそろっています。
| 型番 | ベイ数 | 2.5GbE | 消費電力(アクセス時/待機時) | 実売価格(税込) |
|---|---|---|---|---|
| UGREEN NASync DH2300 | 2 | 未確認 | 13.7W/3.3W | 約2.8万円 |
| ASUSTOR DRIVESTOR 2 Gen2 AS1202T | 2 | あり | 11.2W/7.0W | 約2.8万円 |
| QNAP TS-233 | 2 | なし | 10.8W/3.4W | 約3.0万円 |
| Synology DS223j | 2 | なし | 16.3W/4.0W | 約3.4万円 |
| UGREEN NASync DXP2800 | 2 | あり | 16.4W/5.2W | 約5.1万円 |
| Synology DS225+ | 2 | あり | 17.0W/6.1W | 約6.0万円 |
| Synology DS725neo+ | 2 | あり | 20.4W/7.9W | 約10.7万円 |
| ASUSTOR DRIVESTOR 4 Gen2 AS1204T | 4 | あり | 21.4W/8.7W | 約4.5万円 |
| QNAP TS-433-4G | 4 | あり | 22.5W/8.5W | 約7.4万円 |
| UGREEN NASync DXP4800 Plus | 4 | あり(10GbE併載) | 42.4W/18.1W | 約8.4万円 |
| QNAP TS-464-8G | 4 | あり | 40.5W/21.6W | 約10.0万円 |
| Synology DS425+ | 4 | あり | 28.3W/6.1W | 約10.8万円 |
| Synology DS925neo+ | 4 | あり(2ポート) | 37.9W/12.3W | 約11.9万円 |
Synologyのneo+シリーズ(DS725neo+・DS925neo+)は、上位機と同じRyzenプラットフォームでメモリを非ECCに変えて価格を下げた新モデルです。M.2 NVMeや拡張ユニットが必要ならneo+、ファイル共有とバックアップが中心ならDS225+/DS425+で足ります。UGREENとASUSTORの入門機は3万円未満で2.5GbE対応ですが、日本語の情報量とサポートはSynology・QNAPが厚く、初めてのNASなら価格差1万円は判断材料に入れてください。
Netgear ReadyNASは新品流通なし・代替になる機種
ReadyNASの新品は国内でほぼ流通していません。価格比較サイトに価格登録が残るのはReadyNAS 212の1件程度で、Amazonには「メーカー生産終了品」と表記された出品が見られ、リモートアクセス機能のReadyCLOUDも2023年春にサポートを終了しました。Netgear公式の終了告知は確認できませんでしたが、これから新規に導入する対象ではありません。乗り換え先は、同じ2ベイ・4ベイ構成ならSynology DS225+/DS425+、本体価格を抑えるならQNAP TS-233/TS-433が候補です。
NAS用HDDの費用と容量単価(RAIDに必要な台数)

IronWolf・WD Red Plusの容量別価格と1TB単価
NAS用HDDは、24時間稼働と複数台の同時動作を前提にしたCMR方式のNAS向けモデル(Seagate IronWolf、WD Red Plus)を選びます。一般向けのデスクトップHDDより高価ですが、RAIDでの再構築中に別のHDDが故障する、というNAS特有のリスクを下げられます。
| 容量 | Seagate IronWolf | 1TB単価 | WD Red Plus | 1TB単価 |
|---|---|---|---|---|
| 2TB | 約2.7万円 | 約13,500円 | 約2.3万円 | 約11,400円 |
| 4TB | 約3.2万円 | 約8,000円 | 約3.4万円 | 約8,500円 |
| 6TB | 約4.4万円 | 約7,300円 | 約4.3万円 | 約7,200円 |
| 8TB | 約5.2万円 | 約6,500円 | 約5.0万円 | 約6,200円 |
| 12TB | 約7.9万円 | 約6,600円 | 約8.0万円 | 約6,700円 |
容量単価は6〜8TBで底を打ち、それ以上はほぼ横ばいです。2TBは1TBあたり1万円を超えて割高なので、「今は2TBで足りる」場合でも4TBを選ぶ方が容量あたりの費用は安く、小容量でベイを埋めて後からHDDを買い直す無駄も防げます。
RAID 1・RAID 5の実効容量とHDD費用
RAIDは複数のHDDを組み合わせて1台が壊れてもデータを失わない仕組みで、使える容量(実効容量)はHDDの合計より減ります。「RAID 1の費用」を直接答えると、必要なHDDは2台、使える容量は1台分です。
| RAIDの種類 | 必要HDD数 | 耐えられる故障 | 実効容量 | 4TBを使うためのHDD費用(IronWolf) |
|---|---|---|---|---|
| RAID 1 | 2台 | 1台 | 50% | 4TB×2台=約6.4万円 |
| RAID 5 | 3台以上 | 1台 | 67〜75% | 2TB×3台=約8.1万円 |
| RAID 6 | 4台以上 | 2台 | 50〜67% | 4TB×4台=約12.8万円(実効8TB) |
2ベイならRAID 1一択です。4ベイのRAID 5は実効容量が増えますが、現在の価格では大容量HDD2台のRAID 1の方が安く済むことが多く、「将来8TB以上に増やす予定がある」場合に選ぶ構成です。
Synology 2025年モデルで他社HDDを使う場合の注意
Synologyは2025年4月、DS225+・DS425+などの2025年モデルで互換性リストに載ったHDD以外をフルサポート対象外とする方針を導入しました。その後、2025年10月のDSM 7.3のリリースで方針が緩和され、現在はIronWolfやWD Red PlusなどのサードパーティHDDでもインストールとストレージプールの作成が可能です。
ただし、次の点は残っています。
⚠️ サードパーティHDDを使うときの注意:
- M.2 NVMe SSDでのストレージプール作成とキャッシュは、引き続き互換性リスト掲載品が必要
- 互換性リスト外のドライブは、メーカーおよび国内代理店の保証・技術サポートの対象外になりうる
- リスト外ドライブで警告表示が出るかどうかは、情報源によって記述が食い違っており未確認
「サポートを受けられる状態を確保したい」なら、Synology純正HDDか互換性リストに載ったモデルを選んでください。価格を優先して自己責任で運用するなら、DSM 7.3以降であれば実用上の支障はほぼないと報告されています。
NASの電気代(月額・年間・機種別)

消費電力から月額電気代を計算する式(31円/kWh)
NASの電気代は、消費電力(W)から次の式で計算できます。単価は全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価31円/kWh(税込)を使います。
🧮 電気代の計算式:
- 月額 = 消費電力(W)× 24時間 × 30日 ÷ 1,000 × 31円
- 年額 = 消費電力(W)× 8,760時間 ÷ 1,000 × 31円 ≒ 消費電力(W)× 272円
例えば消費電力6Wなら月額約134円・年間約1,630円、17Wなら月額約380円・年間約4,600円です。1W増えるごとに年間約272円と覚えておくと、機種選びのときに電気代の差をすぐ見積もれます。
機種別の月額・年間電気代(公称消費電力ベース)
メーカー公称の消費電力から計算した電気代です。NASは1日の大半がアクセスのない待機状態なので、実際の電気代はアクセス時と待機時の中間に収まります。
| 型番 | アクセス時 | 待機時(HDDハイバネーション) | 月額(アクセス時〜待機時) | 年額 |
|---|---|---|---|---|
| QNAP TS-233 | 10.8W | 3.4W | 約240円〜75円 | 約2,900円〜900円 |
| ASUSTOR AS1202T | 11.2W | 7.0W | 約250円〜155円 | 約3,000円〜1,900円 |
| Synology DS223j | 16.3W | 4.0W | 約365円〜90円 | 約4,400円〜1,100円 |
| UGREEN DXP2800 | 16.4W | 5.2W | 約365円〜115円 | 約4,500円〜1,400円 |
| Synology DS225+ | 17.0W | 6.1W | 約380円〜135円 | 約4,600円〜1,650円 |
| Synology DS425+ | 28.3W | 6.1W | 約630円〜135円 | 約7,700円〜1,650円 |
| Synology DS925neo+ | 37.9W | 12.3W | 約845円〜275円 | 約10,300円〜3,350円 |
| QNAP TS-464-8G | 40.5W | 21.6W | 約905円〜480円 | 約11,000円〜5,900円 |
Buffalo TeraStationは公式仕様に「最大85W」と省エネ法の消費効率しか記載がなく、アクセス時・待機時の値は公表されていません。省エネ法の効率値から逆算すると2ベイ機で20W前後が目安ですが、測定条件が明示されていないため参考値にとどめてください。
2ベイ機なら年間の電気代は1,000〜5,000円、4ベイの高性能機でも1万円程度です。5年でも数万円の範囲なので、電気代の差で機種を選ぶより、必要な性能とベイ数で選んだうえで待機時の消費電力を下げる方が効果的です。
電気代を抑える設定(HDDハイバネーション・スケジュール電源)
⚙️ 電気代を下げる設定:
- HDDハイバネーション:一定時間アクセスがなければHDDを停止する。待機時の消費電力が3分の1以下になる機種が多い
- スケジュール電源:夜間・休日に自動で電源を切る。使わない時間が長い事業所向け
- 不要なサービスの停止:メディアサーバーやインデックス作成を止めるとHDDが止まりやすくなる
ハイバネーションは、常時アクセスするアプリ(監視カメラ録画、常駐の同期)があると効きません。NASは24時間稼働の機器なので、設置場所のホコリ対策も寿命に影響します。対策はパソコンのホコリ対策完全ガイドと同じ考え方で行えます。
NASのバックアップ費用(外付けHDD・2台目NAS・クラウド)

RAIDはバックアップにならない
最初に押さえてほしいのは、RAIDはバックアップの代わりにならないことです。RAIDが守るのはHDD1台の物理故障だけで、次のケースではデータが消えます。
🚫 RAIDでは防げないデータ消失:
- 誤操作でファイルを削除・上書きした(削除が即座に全HDDに反映される)
- ランサムウェアに暗号化された
- NAS本体の故障・火災・盗難・水害
- 再構築中に2台目のHDDが故障した
したがって、NASの費用にはNASの外にコピーを置く費用を必ず含めます。バックアップ先は次の3つから選びます。
外付けHDDにバックアップする費用
最も安く確実なのは、NASのUSBポートに外付けHDDをつなぎ、自動バックアップを設定する方法です。SynologyならHyper Backup、QNAPならHBS 3、Buffaloなら本体の機能でスケジュール設定できます。
| 容量 | 据え置き型外付けHDDの実売価格(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| 2TB | 約1.5〜1.8万円 | I-O DATA HDCZ-UT2KC、Buffalo HD-EDS2U3など |
| 4TB | 約2.1〜2.3万円 | Buffalo HD-EDS4U3、I-O DATA HDD-UT4KBなど |
| 8TB | 約3.6〜4.0万円 | Buffalo HD-EDS8U3、Seagate Expansionなど |
買い切りなので運用コストは電気代のみ(数十円/月)です。弱点は同じ場所に置くため火災・盗難に弱いこと。重要データは次のクラウドと組み合わせます。
2台目のNASを別拠点に置いてレプリケーションする方法もありますが、本体+HDDで最低でも7〜8万円かかります。事業所が2拠点ある場合以外は、外付けHDD+クラウドの方が安く済みます。
NASをクラウドにバックアップする費用(容量課金型サービス比較)
NASのバックアップ先には、Google Workspaceのようなユーザー課金型ではなく、保存容量だけで課金される従量制のクラウドストレージを使います。1TBあたり月額300〜1,300円で、遠隔地保管が実現します。
| サービス | 1TBあたり月額(概算) | 取り出し料金 | 最低利用条件 | 2TB×1年 | 4TB×1年 |
|---|---|---|---|---|---|
| Amazon S3 Glacier Deep Archive(東京) | 約320円 | 有料 | 最低保存180日 | 約7,700円 | 約15,500円 |
| Azure Blob Archive(東日本) | 約330円 | 有料 | 早期削除180日 | 約8,000円 | 約15,900円 |
| IDrive e2 | 約950円 | 3倍まで無料 | 最低1TB分 | 約22,700円 | 約45,300円 |
| Synology C2 OneStorage(年払い) | 約1,020円 | 追加料金なし | 最小300GB | 約24,600円 | 約49,100円 |
| Backblaze B2 | 約1,090円 | 3倍まで無料 | なし | 約26,300円 | 約52,500円 |
| Wasabi | 約1,260円 | 無料 | 最低1TB・90日 | 約30,200円 | 約60,400円 |
米ドル建てのサービスは1ドル157円台で換算した概算です(Azureは円建て価格あり)。
災害時にだけ取り出す保険ならGlacier Deep ArchiveやAzure Archiveが年額1万円以下と圧倒的に安く、ただし取り出しに料金と時間がかかります。普段から復元できる状態にしたいなら、取り出し無料枠のあるBackblaze B2かIDrive e2が扱いやすく、Synology製NASならHyper Backupから直接つなげるC2 OneStorageも候補です。いずれもNAS側のバックアップアプリからS3互換で接続できます。
低コストで3-2-1バックアップを組む構成例
バックアップの基本は3-2-1ルール(3つのコピー、2種類の媒体、1つは遠隔地)です。NASを使う場合、次の構成で最小限の費用に収まります。
| 構成 | 内容 | 初期費用 | 年間費用 |
|---|---|---|---|
| 最小構成(自宅・4TB) | NAS(RAID 1)+外付けHDD 4TB | 約2.1万円 | 電気代のみ |
| 標準構成(SOHO・4TB) | 上記+Glacier Deep Archiveに週次バックアップ | 約2.1万円 | 約1.6万円 |
| 復元重視(小規模オフィス・4TB) | NAS+外付けHDD+Backblaze B2に日次バックアップ | 約2.1万円 | 約5.3万円 |
「バックアップ 低コスト」で探している方には、外付けHDD+アーカイブ系クラウドの標準構成をおすすめします。年間1.6万円で、機器故障・誤削除・災害のすべてに備えられます。
NASの外部アクセス・Wi-Fi利用に追加費用はかかるか

QuickConnect・myQNAPcloud・WebAccessの費用と条件
自宅や外出先からNASに接続する機能は、主要メーカーとも追加費用なしで使えます。ただし条件と制限が異なります。
| メーカー・機能 | 費用 | 主な条件・制限 |
|---|---|---|
| Synology QuickConnect | 追加費用なし | ポート開放不要。直接接続に失敗するとリレー経由になり速度が落ちる。Synology純正アプリ専用 |
| QNAP myQNAPcloud Link | 追加費用なし | QNAPアカウントで利用。リレー接続時の帯域は未公表 |
| Buffalo WebAccess | 追加費用なし | ルーターのWAN側にグローバルIPが必要。プライベートIP割り当ての回線やルーター2台構成では使えない |
Wi-Fiについても補足すると、NAS本体はWi-Fiを内蔵せずLANケーブルでルーターに接続します。パソコンやスマホからはWi-Fi経由でアクセスできるので、既存のWi-Fiルーターがあれば追加費用はかかりません。WebDAVやAFPなどの接続方式も、対応機種であれば設定だけで有効化でき、料金は発生しません。
VPN(Tailscale等)で接続する場合の費用
メーカーのリレーサービスを使わず、VPNで自宅・オフィスのネットワークごと接続する方法もあります。速度と自由度が高く、Docker等のサードパーティアプリにも接続できます。
| 方法 | 費用 | 備考 |
|---|---|---|
| Tailscale(Personalプラン) | 無料 | 最大6ユーザー。非商用利用に限定。業務利用はStandardプラン1ユーザー月額8ドル |
| NAS内蔵のVPNサーバー | 無料 | SynologyのVPN Server、QNAPのQVPNなど。ルーターのポート開放とDDNS設定が必要 |
| 市販VPNルーター | 1〜3万円 | 拠点間接続向け |
個人利用ならTailscaleの無料プランが最も手軽です。業務利用は有料プランの対象なので、人数分の月額を費用に加えてください。VPNサービス全般の仕組みと選び方はYouTubeでよく見るVPN広告の仕組みと選び方で解説しています。
クラウドストレージの月額費用(NASと比べる基準)

法人向けの料金(Google Workspace・Microsoft 365・Dropbox)
NASと比較する対象として、法人向けクラウドの1ユーザーあたり月額と容量を整理します。いずれも年間契約の価格で、月契約はこれより1〜2割高くなります。
| サービス・プラン | 1ユーザー月額 | 容量 | 最低人数 | 削除ファイルの復元 |
|---|---|---|---|---|
| Google Workspace Business Starter | 880円(税込) | 30GB | 1名 | 30日 |
| Google Workspace Business Standard | 1,760円(税込) | 2TB | 1名 | 30日 |
| Google Workspace Business Plus | 2,750円(税込) | 5TB | 1名 | 30日 |
| Microsoft 365 Business Basic | 1,049円(税抜) | 1TB | 1名 | 93日 |
| Microsoft 365 Business Standard | 2,098円(税抜) | 1TB | 1名 | 93日 |
| Dropbox Standard | 1,500円(税抜) | チームで5TB | 3名 | 180日 |
| Dropbox Advanced | 2,400円(税抜) | 15TB〜 | 3名 | 1年 |
Google Workspaceの容量は組織全体でプールされるため、Business Standardを5人で契約すると10TBを共有できます。Dropboxの日本向けプランは販売代理店の資料で「3ユーザーから・5TB」ですが、米国公式ページの表記と異なるため、契約前に公式の見積もりで確認してください。いずれもストレージ以外にメール・Office・会議機能が含まれるので、これらを別に契約しているなら、その費用を差し引いて比較するのが公平です。
個人向け2TBプランの料金(Google AI Plus・iCloud+・Dropbox Plus)
1人で使うなら、法人向けより安い個人向けプランが比較対象になります。
| サービス | 容量 | 月額(税込) | 年額換算 |
|---|---|---|---|
| Google AI Plus(旧Google One プレミアム) | 2TB | 1,450円 | 17,400円 |
| iCloud+ | 2TB | 1,500円 | 18,000円 |
| Dropbox Plus | 2TB | 1,500円(年払いなら月1,200円相当・税抜) | 14,400〜18,000円 |
| Microsoft 365 Personal | 1TB | 2,130円 | 21,300円 |
| Microsoft 365 Basic | 100GB | 260円 | 2,440円(年払い) |
Google Oneの2TBプランはAIプランに再編され、名称がGoogle AI Plusに変わりました。2TBで月1,450〜1,500円が個人向けの相場で、5年使うと約8.7〜9万円です。この金額が、次のTCO比較でNASと比べる基準になります。
NASとクラウドの5年間総コスト比較(TCO)
4TB・5ユーザーで比較した5年間の総額

小規模オフィスで4TBのデータを5人で共有する場合の5年間の総額です。NASはSynology DS225+にIronWolf 4TB×2(RAID 1)、バックアップ用に外付けHDD 4TBを加えた構成、クラウドはGoogle Workspace Business Standardで計算しました。
| 費用項目 | NAS(DS225+構成) | クラウド(Google Workspace Business Standard) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 約12.4万円(本体6.0万+HDD6.4万) | 0円 |
| バックアップ | 約2.1万円(外付けHDD 4TB) | 月額に含まれる |
| 電気代(5年) | 約0.8〜2.3万円 | 0円 |
| 月額料金(5年) | 0円 | 52.8万円(1,760円×5人×60か月) |
| 合計(5年) | 約15〜17万円 | 約53万円 |
差額は約36万円です。Business Plus(5TB)なら82.5万円になり、差は65万円以上に広がります。Microsoft 365 Business Basicで組んでも約35万円(税込換算)で、NASの2倍以上です。
この試算に含まれていないのは、NAS側のHDD交換(5年で1〜2台、3〜6万円)と管理の手間、クラウド側に含まれるメール・会議機能の価値です。加味しても、5人以上で長期に使うならNASが安いという結論は変わりません。
1人・2TBで比較した5年間の総額

一方、1人で2TBを使う場合は結果が変わります。NASはQNAP TS-233にWD Red Plus 2TB×2(RAID 1)、バックアップ用に外付けHDD 2TBを加えた構成、クラウドはGoogle AI Plus 2TBで計算しました。
| 費用項目 | NAS(TS-233構成) | クラウド(Google AI Plus 2TB) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 約7.5万円(本体3.0万+HDD4.5万) | 0円 |
| バックアップ | 約1.5万円(外付けHDD 2TB) | 月額に含まれる |
| 電気代(5年) | 約0.5〜1.5万円 | 0円 |
| 月額料金(5年) | 0円 | 8.7万円(1,450円×60か月) |
| 合計(5年) | 約9.5〜10.5万円 | 約8.7万円 |
1人・2TBでは、5年間でもクラウドの方がわずかに安いか同程度です。NASを選ぶ理由は費用ではなく、ローカルの転送速度、容量を後から増やせること、月額課金から解放されることになります。逆に、外出先から使うことが多く、容量が2TBで足りるなら、クラウドを選ぶ方が合理的です。
自分の条件で計算する式
読者ご自身の容量・人数で計算できるよう、式をまとめます。
🧮 5年間のTCO計算式:
- NAS = 本体価格 + HDD価格×台数 + 外付けHDD価格 + 消費電力(W)×272円×5年
- クラウド(法人) = 1ユーザー月額 × 人数 × 60か月
- クラウド(個人) = 月額 × 60か月
NASの消費電力はアクセス時と待機時の中間値で十分です。クラウドは月額が改定されることがあるため、5年のうちに1〜2割上がる前提で見ておくと安全です。
結論:容量・人数・アクセス方法でどちらが安いか(併用の考え方)
| 条件 | 費用面で有利 | 理由 |
|---|---|---|
| 1〜2人・2TB以下 | クラウド(またはほぼ同額) | 個人向け2TBプランが月1,500円前後で、NASの初期費用を5年で回収しきれない |
| 3人以上・2TB以上 | NAS | 人数が増えてもNASの費用は変わらず、クラウドは人数分積み上がる |
| 5人以上・4TB以上・5年以上 | NASが圧倒的 | 差額が30万〜60万円に達する |
| 外出先・複数拠点からの利用が中心 | クラウド | NASでも外部アクセスは無料だが、速度と設定の手間で劣る |
現実的な最適解は併用です。共有と外出先での編集はクラウドの最小プラン、大容量のアーカイブとバックアップはNAS、という分け方にすると、クラウドの契約人数と容量を最小に抑えながら、NASの弱点である遠隔地保管をクラウドで補えます。判断の軸は「初期費用が安いか」ではなく、電気代とバックアップ費用を含めた5年間の総額です。

まとめ:NASの費用はTCOで判断する
NASの費用は、本体・HDD・電気代・バックアップの4つを合計して初めて実態がわかります。2ベイの入門機なら本体3万円台から始められますが、RAID 1用のHDD2台とバックアップ用の外付けHDDを加えると、2TB構成で約9万円、4TB構成で約15万円が現実的な初期費用です。電気代は2ベイ機で年間1,000〜5,000円と小さく、機種選びを左右するほどではありません。
クラウドと比べると、1〜2人・2TB以下ならクラウドが同額以下、3人以上・2TB以上で長く使うならNASが安くなります。5人・4TB・5年では差額が30万円を超えます。外出先からの利用が中心ならクラウド、社内の大容量データ管理とバックアップはNAS、という併用が費用と利便性の両方で最も無駄がありません。価格は変動が大きいので、購入前に本文の計算式で自分の条件に当てはめて確認してください。
NASの費用に関するよくある質問
- NASの電気代は月いくらですか?
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2ベイの入門機で月100〜400円、4ベイの高性能機で月300〜900円が目安です。消費電力(W)×0.72×31円で月額を計算できます。
- NASとクラウドはどちらが安いですか?
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1〜2人・2TB以下ならクラウドが同額以下、3人以上・2TB以上・長期利用ならNASが安くなります。5人・4TB・5年ではNASが30万円以上安くなります。
- RAID 1にすればバックアップは不要ですか?
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不要にはなりません。RAIDはHDD1台の故障にしか備えられず、誤削除・ランサムウェア・本体故障・災害には無力です。外付けHDDかクラウドに別のコピーを置いてください。
- NASの外部アクセスは有料ですか?
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Synology QuickConnect、QNAP myQNAPcloud、Buffalo WebAccessはいずれも追加費用なしで使えます。BuffaloはグローバルIPが必要な点に注意してください。
- Netgear ReadyNASの後継はどれですか?
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ReadyNASの新品は国内でほぼ流通しておらず、乗り換え先はSynology DS225+/DS425+、または本体価格を抑えるならQNAP TS-233/TS-433が候補です。
- HDDはいつ買うのがよいですか?
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NAS用HDDは値上がりが続いているため、必要な時点で6〜8TBを選ぶのが容量単価では有利です。2TBは割高なので、将来の増設分を見込んで4TB以上をおすすめします。
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参考サイト・出典:
