オフィスチェアが高い理由|19万円の椅子を使って分かった価格差の正体と選び方

モダンな部屋で高級オフィスチェアに座り、調整機構を驚きと興味を持って見つめる日本人女性

在宅勤務やリモートワークが標準的な働き方として定着した今、多くの人が抱く疑問があります。それは「なぜオフィスチェアはこれほど高額なのか」ということです。

26万円を超えるハーマンミラー「アーロンチェア」25万円のオカムラ「コンテッサII」。こうした高級オフィスチェアの価格を見て、「椅子だけでなぜこんなに高いのか」と疑問を感じる方は少なくありません。一方で「椅子だけはいいものを使え」という助言も広く浸透しており、多くの在宅ワーカーが決断に迷っているのが現状です。

私は9年以上の在宅勤務経験を持つライターとして、実際に19万円の高級チェアを購入し使用してきました。その経験から見えてきた意外な事実があります。それは、高額な価格には明確な理由があるものの、すべての人にとって最適解ではないということでした。

この記事では、オフィスチェアが高い理由の核心から、価格帯別の比較データ実際の使用体験、そしてあなたに合った選び方までを網羅的にお伝えします。10万円以上の投資を検討する前に、ぜひ最後までお読みください。

目次

オフィスチェアはなぜ高い?価格を決める3つの要因

高級オフィスチェア10万円以上もする理由に疑問を持つ方は多いでしょう。実際に19万円以上の椅子を使用した経験から、その高額な価格設定には単なるブランド価値以上の具体的な理由があることが分かりました。大きく分けて、研究開発費素材と製造技術調整機能の複雑さの3つです。

研究開発費と人間工学技術のコスト

高級オフィスチェアの価格の大きな部分を占めるのが研究開発にかかるコストです。メーカーは膨大な時間と資金を投じて、科学的根拠に基づいた設計を行っています。

🔬 主要な研究領域:

  • 人間の姿勢や体圧分布を詳細に分析し、背骨のS字カーブを正しくサポートする構造を設計
  • 長時間座っても疲れにくいクッション材の開発(硬さの異なる素材を一体成型する技術など)
  • 様々な体型・座り方のパターンを網羅するために数年〜十年以上の開発期間を投入

たとえばオカムラの異硬度クッション技術では、硬さの異なる3種類のウレタンを一体成型し、座面の前方は太腿を圧迫しないよう柔らかく、後方は臀部をしっかりと支えるために硬めのクッションを採用しています。この製造にはロボットが2種類のウレタン剤の混合溶液を金型に流し入れる特殊な工程が必要で、高度な設備投資と技術開発費用が価格に含まれています。

こうした研究には専門的な測定機器長期間の実証実験が不可欠で、その費用が製品価格に直接反映されています。

高品質素材と精密な製造技術

一般的なオフィスチェアとの最大の違いは、使用される素材の品質です。

部位高級チェアの素材一般チェアとの差
フレーム航空機グレードのアルミニウム軽量かつ高強度、10年以上変形しにくい
クッション異硬度ウレタン一体成型製造コスト一般品の3〜5倍
座面・背面高耐久メッシュ(8ゾーン張力制御等)通気性と耐久性を両立、10倍以上の耐久性
塗装環境配慮型の特殊塗料従来比20〜30%のコスト増

これらの素材は単に高価なだけでなく、5〜10年以上の使用に耐える品質を提供します。ハーマンミラーのアーロンチェアでは、海洋プラスチックを再利用した素材をボディに採用するなど、環境配慮と品質を両立する取り組みも価格上昇の要因となっています。

豊富な調整機能と複雑な機構

高級オフィスチェアの大きな特徴は豊富な調整機能です。たとえばアームレストの3次元調整(高さ・前後・左右)を可能にするには、精密なギア機構ロック機構が必要で、一般的な昇降機能のみのチェアと比較して部品コストが5〜10倍になることもあります。

ランバーサポートの可変機構(上下スライド・前後調整・強度調整)には20〜30個の部品を組み合わせた精密な機構が必要で、リクライニング強度の個別設定では可変式スプリング機構油圧ダンパーが使用されます。

最終的に、1脚の高級オフィスチェアには100を超える部品が使われることもあり、その設計・製造・組み立てコストが価格に大きく影響しています。これらの機能は、1日8時間以上座って作業する方にとっては健康維持に直結する重要な要素です。

高級オフィスチェアと一般品は何が違うのか

「結局、高い椅子と安い椅子は何がどう違うのか」——これはオフィスチェアの購入を検討する人が最初に抱く疑問です。主な違いは素材・調整機能・保証の3点に集約されます。

素材・耐久性の差

一般的な1〜3万円台のオフィスチェアは、プラスチックフレームに単一素材のウレタンクッション、ナイロンメッシュという構成が主流です。耐用年数は概ね2〜5年で、クッションのへたりやガスシリンダーの故障で買い替えが必要になります。

一方、10万円以上の高級チェアアルミダイキャスト製のフレーム異硬度ウレタンや8ゾーン張力制御メッシュを採用し、8〜12年以上の使用に耐える設計です。オカムラはJOIFAの標準使用期間として1日8時間使用で8年を設定しており、この期間内の経年劣化による性能低下が起こらないよう設計されています。

調整機能の数と精度

一般的なチェアの調整機能は座面の高さ背もたれの角度の2点程度です。

高級チェアになると、これに加えて座面の奥行き調整ランバーサポートの上下・前後・強度調整アームレストの4方向調整(高さ・前後・左右・角度)、リクライニングの反発力調整前傾チルト機能ヘッドレストの角度・高さ調整など、8〜10箇所の独立した調整ポイントを持ちます。

これらの違いは、正しい姿勢で長時間座り続ける場合に大きな差として現れます。ただし後述するように、調整機能が多いほど良いとは限らず、自分の作業スタイルとの相性が重要です。

保証期間とアフターサービス

保証の違いは、長期的なコストパフォーマンスに直結します。一般的なチェアの保証は1年程度で、部品供給も数年で終了することが大半です。故障時はほぼ買い替え一択となります。

高級チェアは3〜12年の長期保証を提供し、10年以上経過した製品でも純正部品での修理が可能です。保証制度の違いについては後のセクションで詳しく解説します。

ハーマンミラーのアーロンチェアはなぜ高いのか

アーロンチェアは高級オフィスチェアの代名詞的存在です。その価格の高さには、独自技術・保証制度・ブランド戦略の3つの理由があります。

独自メッシュ技術と海洋プラスチック素材

アーロンチェアの座面と背もたれに採用されている8Zペリクルは、8つのゾーンごとに異なる張力を設定したエラストメリックサスペンションです。座面前方はフレームに近い端を強めに、身体が触れる中央部は柔らかめに設定することで、体圧を均一に分散します。

この素材は通気性と体圧分散の両立を実現しており、一般的なウレタンクッションとは根本的に異なるアプローチです。さらに2024年以降のモデルでは海洋プラスチックをボディに再利用する製造プロセスを採用しており、環境コストも価格に含まれています。

12年保証の登録制保証戦略

ハーマンミラーの12年保証は業界最長クラスですが、ユーザー登録が必須で、製造上の瑕疵のみが対象となる厳格な条件付きです。

⚠️ ハーマンミラー保証の注意点:

  • 購入後にユーザー登録を行わなければ保証は適用されない
  • 中古品は基本的に保証対象外(登録者限定のため)
  • 通常使用による摩耗・消耗は保証の範囲外

この限定的な保証方式によって実際に保証を利用する人数が制限され、その分12年間という長期保証を実現しています。つまり保証コストを抑える仕組みが価格構造に組み込まれているのです。

定価とセール価格の実態

アーロンチェア リマスタードの税込定価は、2024年8月の約20%値上げ後、最も選ばれるグラファイト/樹脂ベース/BBキャスターの仕様で¥264,000です。ポリッシュドアルミベースを選ぶと¥327,800まで上がり、最上位のミネラル/ポリッシュドアルミは¥346,500となります。同じフル装備でも約8万円の差がある点は見落としやすいポイントです。

ただし、ハーマンミラー公式ストアでは年に2〜3回、20〜25%OFFのセールが開催されます。実際に2025年4月にはAmazonでBサイズ グラファイトが¥191,400(24%OFF)で販売された実績があり、定価から約7万円の差が生じることもあります。

正規販売店(FLYMEecase study shop NAGOYAvanilla等)はいずれも**定価統一の¥264,000〜**で販売しており、販売店間の価格差はありません。

なお、廉価版のアーロンチェア ライト(Lite)は約¥126,500で、前傾チルト機能なし・固定アームという制約がありますが、フル装備の半額以下で購入できます。

高級オフィスチェア 価格帯別の比較と選び方

オフィスチェアが高い理由-19万円の椅子を指差す日本人女性 明るいホームオフィスで、笑顔の日本人女性が高級なエルゴノミクスオフィスチェアを指差している。

高級オフィスチェアの価格は機能や素材、保証期間によって大きく異なります。ここでは価格帯ごとに代表的なモデルと、その特徴を整理します。

20万円以上の最高級モデル

この価格帯は最高級の人間工学技術長期保証を備えた、プロフェッショナル向けの製品です。

モデル税込定価(基本仕様)保証特徴
ハーマンミラー アーロンチェア¥264,000〜12年(登録制)8Zペリクル、前傾チルト、3サイズ展開
オカムラ コンテッサII¥250,580〜構造体8年(使用者不問)スマートオペレーション、ジウジアーロデザイン
スチールケース ジェスチャー¥221,540(希望小売価格)12年アームの自由度が高い、多姿勢対応

コンテッサIIは仕様による価格幅が非常に大きい点に注意が必要です。最も安いハイバック・メッシュ座面・ブラックフレームの¥250,580と、革張り・ポリッシュフレームの約¥400,000では約15万円の差があります。フレームのポリッシュ仕上げで+約¥22,000、ヘッドレスト追加で+約¥30,000、座面がメッシュからクッションで+約¥48,000と段階的に上がる構造です。

10万円〜20万円の高機能モデル

この価格帯は高度な調整機能優れた素材を備えながら、最高級モデルより現実的な価格に抑えた製品群です。

モデル税込定価 / 実売価格特徴
オカムラ クルーズ&アトラスチェア約¥228,000 / セット約¥38〜40万低座・後傾設計、専用デスクとのセット
エルゴヒューマン プロ2¥108,000〜¥174,000オットマン内蔵モデルあり、豊富なカスタマイズ
オカムラ バロン¥199,540〜シンプル操作、確実な品質、ロングセラー

クルーズ&アトラスはコンテッサIIとは完全に別の製品ラインで、低座後傾用の専用デスク(クルーズ)と専用チェア(アトラス)のセットです。なお、Kagg.jpでは一部モデルが「廃番」表示となっており、ラインナップが縮小傾向にある点は留意してください。

5万円〜10万円のミドルレンジモデル

機能と価格のバランスを重視する方に適した価格帯です。中級モデルに近い調整機能を持つ製品も選択できます。

モデル税込定価 / 実売価格特徴
オカムラ シルフィー¥98,450〜¥153,010日本人の体型に合わせた設計、前傾機能あり
オカムラ CG-M(可動肘)定価¥83,930 / 実売¥58,000前後軽量でコンパクト、在宅勤務向き
オカムラ CG-M(肘なし)定価¥57,530 / 実売¥34,000前後エントリーに最適、メーカー品質

CG-Mはモデルにより価格が大きく異なります。ネット上で「4万円台」と紹介される価格は肘なし基本モデル(CG11WR等)のAmazon実売価格であり、可動肘付きモデル(CG91WR等)の定価は¥83,930です。同じCG-Mでも約¥26,000の定価差があるため、比較する際はモデル番号と肘の仕様を必ず確認してください。

5万円以下のエントリーモデルと既存椅子の改善

5万円以下の予算でも、基本的な作業環境の改善は十分に可能です。

📌 代表的な選択肢:

  • ニトリ・IKEAの事務椅子(2〜4万円台):基本的な姿勢サポート機能を備えた入門機
  • ゲーミングチェア各種(4〜5万円台):長時間使用を前提とした設計で、在宅勤務にも対応
  • アイリスオーヤマのメッシュチェア(3〜4万円台):通気性重視のコスパモデル

すでにお持ちの椅子を活かす方法も現実的です。ランバーサポート(3,000〜5,000円)、低反発クッション(2,000〜4,000円)、フットレスト(3,000〜8,000円)を組み合わせれば、1万円程度の投資で既存環境を大幅に改善できます。特に腰痛が気になる方は、高額なチェアを購入する前にまず椅子クッションの見直しから始めるのも賢い選択です。

価格帯別の年間コスト比較

「高い椅子」の妥当性を判断するには、絶対額ではなく年間コストで比較することが重要です。

価格帯代表的な耐用年数年間コスト1日8時間使用時の時間単価
3万円のエントリー3〜5年¥6,000〜¥10,000約3〜4円/時間
10万円のミドルレンジ5〜8年¥12,500〜¥20,000約5〜8円/時間
20万円の高級モデル8〜12年¥16,700〜¥25,000約7〜10円/時間

年間コストの差は¥6,000〜¥15,000程度に収まります。3万円の椅子を5年で買い替え続けると10年で6万円、20万円の椅子を10年使えば年間2万円。長期的に見れば価格差は縮まりますが、20万円の椅子が自動的にコスパが良いわけではなく、耐用年数まで使い続けることが前提です。

12年保証 vs 3年保証|保証制度が価格に与える影響

高級オフィスチェアの価格設定において、多くの人が見落としがちなのが長期的なサポートコストが製品価格に含まれている点です。

ハーマンミラーの登録制長期保証

ハーマンミラーの12年保証は業界で最も長い部類に入りますが、登録手続きが必須で、製造上の瑕疵のみが対象です。中古品は登録者が異なるため基本的に保証対象外となります。

この厳格な条件によって保証を利用する人数が制限されるため、25万円超の価格でも12年保証を維持できるという構造になっています。

オカムラのJOIFA準拠保証と中古品保証

オカムラ、イトーキ、コクヨなどの日本メーカーは、日本オフィス家具協会(JOIFA)のガイドラインに基づいた保証を提供しています。

📋 JOIFA準拠保証の構成:

  • 外装・表面仕上げ:1年間
  • 機構部・可動部:2年間
  • 構造体:3年間または8年間

使用者の限定がない点が最大の特徴です。コンテッサIIなどのオカムラ製品では、製造日シールで保証期間を確認でき、誰が使用していても保証が適用されます。つまり中古品でも期間内なら保証を受けられる利便性の高い仕組みです。

保証コストから見た年間コストの考え方

保証の利便性期間にはトレードオフの関係があります。ハーマンミラーは登録制で保証利用者を限定することで長期保証のコストを抑え、日本メーカーは利便性を重視する代わりに保証期間は短めという棲み分けです。

購入判断においては、保証期間の長さだけでなく自分の使い方に合った保証制度を選ぶことが重要です。中古購入を視野に入れるならオカムラ等の日本メーカー、新品を長期間使い続けるならハーマンミラーの12年保証にメリットがあります。

19万円のクルーズ&アトラス 実使用レビュー

クルーズ & アトラス | デスク/テーブル | オフィス|製品情報|株式会社オカムラ

購入理由と期待した効果

オカムラのクルーズ&アトラスは、低座・後傾姿勢を特徴とする高級オフィスチェアとデスクのセットです。購入した最大の理由は、従来の椅子では解決できなかった腰への負担でした。座面高37.7〜43.5cmの幅広い調整範囲と、天板の高さ・角度調整(60〜72cm、10°)が自分の体格に合うと判断し、デスクとチェアのセットで19万円台の投資を決断しました。

年間コストの観点では、毎日8時間使用する場合に年間約2,900時間の使用となり、10年間使えば1時間あたり約7円の計算です。この数字が、投資を決断する後押しになりました。

正しい姿勢維持の難しさと予想外の発見

実際に使用してみると、最も予想外だったのは長時間正しい姿勢で座り続けることの困難さでした。

30分程度で自然と姿勢が崩れ始めることが判明しました。椅子の上で足を乗せたり、あぐらをかいたり、前のめりになったり——人間工学に基づいた設計の恩恵を受けるには、ある程度決まった姿勢を保つ必要があるのですが、これが想像以上に難しいことを痛感しました。

さらに、作業内容によって自然と姿勢が変化することも大きな発見でした。集中作業時は前のめり、オンライン会議では背筋を伸ばし、資料読解時はリクライニングを多用し、アイデア出しでは立ち上がって歩き回る——こうした姿勢の多様性に、高機能チェアの設計は対応しきれませんでした。

高機能を活かしきれなかった現実

特に意外だったのは、ソファーに寝転がって作業する方が集中できる場面が多々あるという事実です。クリエイティブな作業では、デスクに向かうよりもリラックスした姿勢の方が生産性が高いケースがありました。

結果として、19万円の投資に見合う効果を得るためには、自分の働き方を椅子に合わせる必要があることが明らかになりました。豊富な調整機能も、多動的な作業傾向がある場合はその恩恵を受ける時間が限定的になります。

この経験から言えるのは、高級チェアの真の価値は、正しい姿勢で長時間集中して作業できる人に限定されるということです。自分がこの条件に当てはまるかどうかを、購入前に冷静に判断することが重要です。

高級チェアを買う前に確認すべきポイント

10万円以上の高級オフィスチェアへの投資を検討する前に、必ず確認すべきポイントがあります。事前の自己分析がいかに重要かは、19万円のクルーズ&アトラスを使用した経験から痛感しました。

自分の作業スタイルとの適合性

高級チェアの機能を活用できるかどうかは、あなたの作業スタイルに大きく依存します。

✅ 購入前の自己チェック:

  • 現在の椅子で2時間以上集中して作業できるか
  • 無意識に足を椅子の上に乗せたり、あぐらをかいたりしていないか
  • 背筋を伸ばした状態を1時間以上維持できるか
  • 15〜30分ごとに姿勢を変える習慣があるか、それとも頻繁に立ち上がるか

これらの質問に「No」が多い場合、高級チェアの機能を十分に活用できない可能性があります。多動的な作業傾向がある人は、高級チェアよりも複数の作業環境の整備(デスク・ソファ・スタンディングデスクの使い分け)の方が効果的な場合があります。

デスク・スペースなど作業環境との相性

最高級の椅子でも、デスクの高さが合わなければ効果は半減します。

📐 デスク環境のチェック:

  • 現在のデスクは高さ調整が可能か
  • 肘の角度が90度になるセッティングが可能か
  • モニターとの距離・角度が適切に調整できるか
  • リクライニング時の後方スペースは十分か

デスクワークの快適性は椅子だけで決まるものではありません。モニターの高さが合わない場合は、パソコンスタンドによる姿勢改善も併せて検討してください。

高級チェアで腰痛・肩こりは改善するか

「椅子だけはいいものを使え」——この助言は広く浸透していますが、高級チェアを買えば腰痛や肩こりが治るという期待は正確ではありません。

人間工学に基づいたチェアの設計は、正しい姿勢を保ちやすくすることで体への負担を軽減する仕組みです。つまり正しい姿勢で使用することが前提であり、姿勢が崩れた状態では高級チェアの恩恵は限定的です。

実際の使用経験でも、30分で姿勢が崩れ始める現実がありました。腰痛や肩こりの改善には、椅子の性能だけでなく、定期的な姿勢のリセットや運動習慣が欠かせません。高額な椅子を「腰痛の治療」として期待するのではなく、負担を軽減するツールの一つとして位置づけるのが現実的です。

代替案との比較検討

20万円近い投資をする前に、より低コストで同等以上の効果が得られる代替案を検討する価値があります。

🔄 代替案の比較:

  • 複数作業場所の確保(5万円×4箇所=20万円):作業内容に応じた環境選択が可能で、在宅勤務のオン・オフ切り替えにも有効
  • スタンディングデスク併用(昇降デスク5万円+基本チェア3万円=8万円):座位と立位の使い分けで腰痛予防効果も期待できる
  • 既存椅子+補助アイテム(約1万円):ランバーサポートやクッションの追加だけでも大幅に改善できる場合がある

長時間座位が苦手な人には、高級チェア一点投資よりも分散投資の方が総合的な満足度が高くなる可能性があります。足元の冷え対策室温管理の工夫など、椅子以外の環境改善も見落とさないようにしましょう。

高級オフィスチェアを安く買う方法

高級オフィスチェアの価格は「定価」とは限りません。購入チャネルとタイミングを選ぶことで、定価から数万円単位の節約が可能です。

中古・リファービッシュ品の活用と注意点

中古市場では、アーロンチェアが新品の50〜70%程度の価格で取引されています。オフィスの入れ替えや企業の撤退に伴い、状態の良い中古品が市場に出回ることも珍しくありません。

⚠️ 中古購入時の注意点:

  • オカムラ製品は中古でも保証期間内ならメーカー保証が適用される(使用者不問)
  • ハーマンミラー製品登録者限定の保証のため、中古品は基本的に保証対象外
  • 信頼できる購入先(オフィスバスターズ等の中古専門店)では独自の保証が付く場合もある

保証の有無は中古市場での価値にも影響しており、保証が継続するオカムラ製品は中古でも比較的高値で取引される傾向にあります。

Amazonセール・メーカー公式セールの活用

新品を安く購入する最も効果的な方法は、セールのタイミングを狙うことです。

📅 主なセール時期と割引率:

  • Amazonプライムデー・ブラックフライデー:アーロンチェアが最大24〜25%OFFで販売された実績あり
  • ハーマンミラー公式ストア:年2〜3回、20〜25%OFFのセールを実施
  • Kagg.jp等の正規ECパートナー:オカムラ製品が常時約20〜25%OFF(コンテッサIIの実売は定価から約¥50,000〜60,000引き)

オカムラ製品はメーカー定価で購入する必要はなく、正規ECサイトでの購入が常にお得です。ハーマンミラー製品は正規販売店間で価格差がないため、公式ストアかAmazonのセール時期を待つのが賢明です。

試座できる場所と購入チャネルの選び方

10万円以上の椅子を試座せずにネットで購入するのはリスクが高い行為です。店頭で数分座っただけでは分からない長時間使用時の不適合があるため、できるだけ長く試すことが重要です。

🏬 試座できる主な場所:

  • ハーマンミラーストア:東京(丸の内・青山・銀座・渋谷・二子玉川)、大阪(心斎橋)、名古屋の全国7店舗。エルゴノミックアドバイザーによる無料パーソナルフィッティングあり(予約制)
  • オカムラ「Chair isn’t」個人向けフラッグシップ・サロン(東京・赤坂)。予約なしで試座可能なエリアあり。オカムラチェアマスターによるサポートも利用可(予約制・1枠最大90分)
  • オカムラショールーム:東京(赤坂)、大阪、名古屋、仙台で個人予約も受付
  • 大塚家具、WORKAHOLIC等の家具専門店:複数メーカーの横比較が可能

💡 現実的な購入パターン:ショールームで試座→気に入ったモデルのセール時期を待つ→ECサイトで安く購入という流れが、満足度とコストの両面で最も合理的です。

まとめ

オフィスチェアが高い理由は、研究開発費航空機グレードの高品質素材100を超える部品で構成される複雑な調整機構の3つに集約されます。アーロンチェアは**¥264,000〜、コンテッサIIは¥250,580〜**と、いずれも近年の価格改定で上昇傾向にあり、12年保証などの長期サポートコストも価格に反映されています。

実際に19万円のクルーズ&アトラスを使用した経験から分かったのは、高級チェアの真の価値は正しい姿勢で長時間作業できる人に限定されるということです。30分で姿勢が崩れる、頻繁に立ち上がる、あぐらをかいて作業する——こうした習慣がある人は、高級チェアの機能を十分に活用できない可能性があります。

20万円近い投資をする前に、自分の作業スタイル分析・既存環境との適合性確認・代替案との比較検討を必ず行ってください。場合によっては、複数の作業場所確保補助アイテムでの改善スタンディングデスク併用の方が総合的な満足度が高くなることもあります。最も重要なのは、スペックではなく自分の体と作業習慣に合わせた環境づくりです。

よくある質問

オフィスチェアが高すぎると感じたら、まず何をすべき?

まず自分の1日の作業姿勢を観察してください。正しい姿勢を2時間以上維持できるなら高級チェアの恩恵を受けやすいですが、頻繁に姿勢を変えたり立ち上がったりするなら、ランバーサポートやクッションの追加(合計約1万円)から始めるのが現実的です。

10万円の椅子と20万円の椅子で体感できる違いは?

調整機能の精度と素材の耐久性に差が出ます。ただし、正しい姿勢を維持できない場合は体感差が小さくなります。年間コストで見ると差は数千円〜1万円程度に収まるため、長期間使い続ける前提があるかが判断基準になります。

「椅子だけはいいものを使え」は本当か?

半分正しく、半分は条件付きです。正しい姿勢で長時間座り続ける人には効果がありますが、椅子だけで腰痛が治るわけではありません。椅子+デスク環境+姿勢習慣+定期的な運動のトータルで改善するものです。

高級オフィスチェアを安く買う方法はある?

ハーマンミラー公式ストアの定期セール(年2〜3回、20〜25%OFF)やAmazonのプライムデー・ブラックフライデーが狙い目です。オカムラ製品はKagg.jp等で常時約20〜25%OFFで購入できます。中古品なら新品の50〜70%程度で入手可能です。

個人事業主はオフィスチェアを経費にできる?

事業に使用する目的であれば、原則として経費計上が可能です。10万円未満は消耗品費、10万円以上は固定資産として減価償却の対象になります。具体的な処理方法は税理士にご確認ください。

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